Everyday Birthday: 2014

2014年10月16日木曜日

おじさんおばさん

温泉でも入って英気を養おうと、四日市のアクアイグニスへ向かいました。

おいしい食事に、念願のフォルテシモアッシュの辻口さんのケーキ『セラヴィ』。
お腹もココロも満たされて、いざ入浴!

まるで美術館のようなエントランスに目を奪われつつ、
脱衣所へ向かうのれんをくぐろうとした、その時でした。

後ろから仲居さんに呼び止められました。

「女湯でしたら、こちらですよ」

振り返っても仲居さんは親切心満載の笑顔。

「あ、ぼくオトコです。。。」

まぁ、女湯入っていいなら、入っちゃいますけど?

女性に間違えられたのはこれで2度目だ。

妻とあるお宅へ訪問した所、『お母さんですか』と尋ねられた。
複雑〜。

まずお母さんほど妻と年離れてないし、
そもそも男だし。

なにひとつ合ってませんよ?

そういえば、レジのおばさんに声かけた瞬間、
女性だと思ってたらしく、驚かれた事もあった。

ぜんぜん男の格好してるし、おねぇ言葉も使ってませんよ?

なんなんでしょうね。
髪型?
まあ、中年のおばさんのショートヘアぐらいの長さですが。

体型?
まあ、入院中に痩せて、痩せ型の女性くらいの体重で華奢ですが。

猫背?
まあ、杖ついて歩いてるんで、中高年みたいな歩き方してますが。

顔立ち?
まあ、色白いし優しい顔立ちと言われますが。

どうも、私がおばさんみたいなおじさんです。


2014年9月24日水曜日

曲がり角の先に


4月19日の朝、急に呼吸が苦しくなって緊急入院。
原因は急性の心不全。
翌日の深夜になって容態が急変した。

そこから約一ヶ月半をICU(集中治療室)で過ごし、
7月末にようやく退院。

ICUに入った事も、そこから2週間ほどの記憶もまったくない。
どうやら三途の川の手前まで行き、呼び戻されたようだ。

その間の家族や友人の気持ちは、どれほど苦しかったか。
それを知る事ができたのも、今こうして生きているからだ。

たとえ良くなっても、車いすや呼吸器をつけての生活かと、
嘆いた日もあったけれど、気管切開と右足の麻痺だけで
なんとか歩いて退院できたのは、奇跡的です。

これまでずっと、いつ死んでもいいと覚悟を決めて生きてきた。
けれどもそれは間違いだった事に気づいた。

ぼくがしなければいけないのは、それでも生きていくという覚悟だった。

もしも家族や友人、あるいは同じ心疾患で苦しむ子どもたちに
ポジティブな影響を与えられるなら、
それでも生き抜いてみせることだと思う。

入院中の唯一の楽しみは、朝の連続テレビ小説「花子とアン」だった。
赤毛のアンは物語の中で、こう言った。

「曲がり角を曲がった先に、なにがあるのかはわからないの。
でもきっと一番良いものにちがいないと思うの」

ぼくもまた、何度めかの曲がり角に来たようだ。
みんなに助けられた命に感謝して、歩んでいこう。
自分の生命力を信じて。

2014年2月11日火曜日

おむすびの真ん中にあるもの


「おむすびは母の味だとは、絶対にいわない」

料理研究家の小林カツ代さんが、学校で授業をされる時に心がけていた事だそうです。
NHKの追悼番組の中で、過去のインタビューで語っていました。

お母さんがいない子もいるかも知れないし、もっと辛いのは、居るのに居てくれない。

でも、おむすびは愛情の形であることは間違いない。
だから優しさを伝えるために、おむすびの授業をする。

友達でも好きな人でもいい。誰かのために握る事を伝えたい。
手で握ることで気が入るんですよ。
だからラップでキュッなんてとんでもない。

手塩にかけるというけれど、手に塩をつけて握るのはなぜかとカツ代さんは考えた。

塩ご飯で握るとずっと同じ味で、2個3個と食べると飽きてしまう。
まわりだけ付いていると、塩味が薄くなった時に中からむにゅっと具が出てくる。
だから、おむすびを考えた人ってすごいなぁと思うの。

そうおっしゃっていました。

スミマセン、おむすびラップで握ってました。

そんなボクのような人のために、最後にいいアイデアを授けてくれた。

お椀にご飯をよそって、まんなかにくぼみを作って具を入れる。
それから手に水と塩を塗って握れば、そんなに熱くないでしょ。

さて、中にはなにを込めようかな。


カツ代さんは亡くなっても、レシピは残る。
ご冥福をお祈りします。