Everyday Birthday

2013年7月11日木曜日

はびこる力


先日の「サワコの朝(TBS)」でやっていた、
生物学者の長沼毅さんと、阿川佐和子さんの対談でのお話。

長沼さんはいろんなへき地にいっては
そこに潜む生物を研究されている方です。

人や動物が住めないような過酷な環境の中でも、
そこでだけ生きているような生物がたくさんいるという。

彼らはむしろ、生物学的には弱者かもしれない。

それでもどうにか生き残るすべを身につけて、
天敵のよりつかないような場所で、
彼らだけのパラダイスを作る。

それを長沼さんはこう表現しました。


生命力とは、はびこる力である。


なるほど。

自然界のサバイバルの中で、
いかに自分たちの種族を繁栄させてゆくか。

もしくは自分自身が、この世にはびこるために、
姿や生き方までも変えてゆく様。

それが生命力というわけです。

厳しい世界に思えても、 自分に合ったスタイルがきっとある。

たとえ人とは違っていても、それこそが自分の活きる道なんだなぁ。

2013年6月17日月曜日

Kindleという鉱山


買っちゃいました、Kindle Paperwhite
アマゾンが販売している電子書籍リーダーです。

ぼくはipadも持っているのですが、
それで本を読もうと思うとすごく疲れて続きませんでした。
映画とか雑誌はいいんですけどね。

その点このkindleは、Eインクという紙に似た表示方式なので、
文字を長く読んでいてもあまり疲れません。

また、213gという軽さも魅力。
文庫本1冊とあまり変わらない重さに、
マンガだったら全巻入れて歩けますよ!

作家としては、Kindleだと個人で本を出版できるのも魅力。
ぼくが買った理由も、その勉強のためです。

でも読みたい本を探すのは一苦労です。

決まった本を探すのなら、簡単に検索できますが、
まだまだ電子化されていないものが多い。

逆に、無名の作家さんの作品は数多く、
気に入る作家を見つけるのもたいへん。

本屋を回るのが好きなぼくとしては、
本との偶然の出会いも大切にしています。

ふと目に止まった本をぱらぱらとめくって、
新しい発見がある事もしばしば。

このぱらぱら感って、けっこう大事だと気づきました。

Kindleでも、サンプルで冒頭だけ読めますが、
欲しかった言葉が冒頭にあるとは限りません。

なにげに手にした本の中の一小節に、心が動くことがある。

電子書籍の快適さもいいですが、
本と本屋の魅力も再確認しました。

やがて本屋は図書館化していくのではないでしょうか。
民間の、会員制の図書館とかね。
ツタヤがすでに図書館の経営を始めていますけど。

さて、だれでも作家になれる時代。
自分の作品が、選ばれるものになれるかどうか。

いい作品を描くというだけでは、難しそうですね。

挑戦あるのみです。

2013年4月21日日曜日

子どもの本ってなんだ?


ぼくの描いた絵本を人に読んでもらうと、
大人向けだねって言われる事がしばしばあります。

そう言われる度に、子どもの絵本ってなんだろうなと
悩んでいました。

ぼくは子どもを子ども扱いしたくないんです。
自分もそうして接してもらえる方が嬉しかった。

たしかにちょっと大人っぽい表現もあるし、
幼児向けではありませんが、
こどもでもわかりやすいような言葉を選んでいるつもりです。

これってどうゆう意味だろうと考えるのも
成長するために大切な要素だと思ってます。

今日は子どもの本の専門店「メリーゴーランド」の主催で、
作家の江國香織さんのレクチャーを聞いてきました。

彼女の描いたり翻訳する絵本も、わりと大人っぽいと思いますが、
やはりそこは編集の方とよく戦っているそうです。

わからないまま言葉を憶えたり、感じたりするものだと言っていました。
簡単に「やさしい」とか、「こころ」とか使ってはいけない。
物語を読んで初めて気づく事が大事。

こうゆう言葉もあるよと知ってほしい。

その思いにはすごく共感できました。

本は心のセーフティーネットである。
安全に旅ができる。
だからこそ、ダークサイドも描かなくちゃいけないと
考えておられました。

冒頭で、主催の方はこんな事をいいました。

絵本の読み聞かせが蔓延していて、
逆によくないんじゃないかと最近思うようになった。
本は本来自分で読むもの。
読み聞かせもコミュニケーションとしてはいいけれど、
やっぱり自分で読むようになってほしい。

このレクチャーのおかげで、少し迷いが晴れたような気がします。

2013年4月20日土曜日

ファンサービス


自分はつくづくつまらないオトコだと思った。

定期検診のため病院に行き、名前を呼ばれたので病室に向かった。
すると、待合室の方から呼びかけられるような声が聞こえた。

気のせいだと思ったのだけど、診察を終えて病室を出ると、
女の子を抱えたお母さんが声をかけてきた。

「覚えてませんか?」

あー、覚えてないですねぇ」

「この子に絵本を頂いたんですよ」

そう言われて、思い出した事がある。
以前入院していた時に、同じく入院していた女の子に絵本をあげたのだ。
もっと言えば、初めてサインをしたのもこの時だった。

「そうだ、あの時の!覚えてますよ!」

なんでそんな気の利いた言葉が出てこなかったんだ。

せっかく好意をもって声をかけてくれたのに、
あまりにそっけなさすぎ。

こいつは大失態。

「元気になってよかったねー!」
そんな明るい言葉もかけられなかった。

普通ファンでも、覚えてないなんて言われたら
キライになっちゃいますよね。

なんなら絵本も捨てちゃいますよ。

結局たいした会話もできず、その場を離れてしまった。
もっとウィットに飛んだ話ができたらよかったのに。

自分はこういう子を歓ばすために絵本を描いているんじゃないのか?

いまさら反省しても遅いです。。。

哀しい思いさせてしまって、ごめんなさい。

でも元気な姿が見られてホントに良かった。

2013年3月12日火曜日

不老長寿のキュイジーヌ

妻の誕生日のお祝いに、ランチを予約した。

どこへ行くか内緒にしていたのに、
あんまりしつこく訊くので今日は中華だとというと、
急に不機嫌になった。

内緒にした事が、余計な期待を持たせてしまったらしい。
つくづく自分はウソがヘタだ。

内緒にしていたのには理由があって、
彼女の家族もサプライズで呼んでおいたのだ。

早くきて助けてくれないかとやきもきしていると、
ようやくチャイムが鳴った。
あぜんとする妻の顔をみて、ほっと胸をなでおろす。

予約したお店は、郊外の静かな住宅街にあって、
探さないとわからないくらい。

出された料理は中華のイメージをさらりと裏切ってくれた。

空豆とホタルイカの蒸し物、初鰹のサラダ仕立て。
たけのことあおさのスープ仕立ての麺に、
メインは牡蠣と帆立のオイスター炒め。
デザートは、苺を飾った杏仁豆腐。

まさに中華風のキュイジーヌだ。
これなら妻も文句はあるまい。

無添加、無農薬、化学調味料不使用といったこだわり。
食材も旬を感じさせてくれるものばかり。

菊の花は、中国で不老長寿の花とされているらしい。
『菊花(ジェイファ)』という店の名前には、
そんなシェフの願いが込められている。

ちょっと量が少なく、もっと食べたいなと感じるが、
腹八分目に医者入らずという事なのかも知れない。

この日は久しぶりに暖かい陽気で、
一足早い春を、舌と肌で感じられた。

美味しいモノを食べ、みんなが息災で暮らせたなら
ボクはなによりも幸福だ。

ごちそうさまでした。